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ラフマニノフの魅力を楽しんでください2021年9月27日


2年ぶりとなるトップコンサートで、出演者の加藤亜咲美さん(ユースピアノ部門大賞受賞者)にお話を伺いました。選曲したラフマニノフへの想いや「かなコン」本選での心境などを語っていただきました。

=受賞できればラッキーと思うほどの本選の顔ぶれ=
-今年の「かながわ音楽コンク-ル」は高校生の部で見事に最優秀賞・神奈川県知事賞を受賞されましたね。自信のほどはいかがだったのでしょうか?
加藤 本選に残った人の顔ぶれを見て、皆さん実績ある人ばかりだったので「受賞できたらラッキー」と思って自信なんて全然ありませんでした。また、私が弾くメンデルスゾーンの幻想曲は派手な曲ではないし、デュティユーとラフマニノフに挟まれて地味な演奏だったのではないかと思っていたので、まさか最優秀賞になるなんてびっくりしました。ただ、この曲は今度の学生音楽コンクール本選でも弾きますので、今では自分の持ち曲になりました。
-審査員の講評にはどの様なことが書かれていましたか
加藤 改善点としては自分でも感じる“溜め過ぎている”ところで、第1楽章の冒頭が終わってテーマに移るところを不自然に感じたと記載されていました。指が回るところも回りすぎてしまうのか“ひらべったい”演奏との指摘もありました。また第1楽章は褒めていただいたのですが、第3楽章が音の切れ方が乱暴になっているので気をつけてくださいと書かれていました。コンクールを通じて審査員の先生方の講評はとても参考になります。

=不安に思っていたトップコンサートで大好きなラフマニノフを=
-県知事賞を受賞されたので、トップコンサート出演は確信していましたか
加藤 もちろん期待はしていたのですが、ピアノ部門で岩井亜咲さんが第1位になったので、岩井さんは確定で、正直「私はトップコンサートに出演できるだろうか」と不安には思っていました。連絡が来てホッとしました。
-トップコンサートはこれまで大勢の人が演奏した「ラフマニノフの第2番」ですが、ご自分で決めたのですか?
加藤 私はラフマニノフが作曲家で一番好きなので、中井恒仁先生から「何を弾きたい?」と聞かれた時、素直にラフマニノフの2番と答えました。ラフマニノフはすごくダイナミックで歌わせるところがある一方で、とても繊細で訴えかけるところもある、そのギャップが魅力です。曲に盛り込まれている感情を表現するのが難しいのですが演奏していて楽しいです。いつかはラフマニノフのエチュードを全曲弾いてみたいです。本当は3番のコンチェルトを弾きたかったですが、何せ難しくて!2番にしました(笑)


ユースピアノ部門の本選ではメンデルスゾーンを演奏

=きっかけは3歳の時、友だちの付き添いで=
-ピアノを始めたのはいつからですか
加藤 自分では記憶はありませんが、母の話だと3歳の時、友だちのヤマハ音楽教室体験入学について行ったことがきっかけだったと聞いています。ただ父も母も音楽家なので家にはピアノがある環境でした。このタイミングではないにしろ、いずれ何がしかの理由で音楽に関わることはするだろうと両親は思っていた様です。
-ご自身で憶えている最も古い音楽の記憶はいつですか
加藤 演奏中の記憶がはっきりあるのは小学校2年生で、ヤマハのお店でのコンクールで
した。その時、湯山昭さんの「柿の種」を弾いて初めて金賞を取りました。
-ピアノを続けていて、辛いと感じたり辞めたいと思ったことはありましたか
加藤 嫌になった時期はありましたが、本気で辞めたいと思ったことはありません。小さい
頃には母がレッスンをしてくれましたが基本、父や母も私の演奏に干渉したりしないです。
ただ、小さい頃から課題曲をさらうスピードが速いせいなのか、練習量が少ないとよく母に言われます。私は譜読みを中途半端で終わらせたくないし途中でつっかえながら弾くのが嫌いなので、早く最後まで通せるようになりたいという意識が強かったので譜読みを終えるまでの時間が比較的短かったです。

=将来の夢、そしてトップコンサートに臨む想い=
-昨年からのコロナ禍の中、環境面では変化はありましたか
加藤 高校の授業では昨年前半は全てオンラインでした。それ以降、希望者は対面での授業を受けることができる様になりました。
昨年は「かなコン」をはじめ予定していたコンクールやコンサート、発表会などが次々と中止になりとても辛い想いをしました。だからこそ今回「かなコン」に出場して県知事賞を受賞できてトップコンサートに出演できることがものすごく嬉しいです。
-現在、師事されている中井恒仁先生のレッスンを受けて自分が伸びたと感じることはありますか。
加藤 色々な音色のパターンが広がったことです。以前だと弱い音が数パターンしか出せなかったのですが、先生のレッスンで少しずつ増えていると実感します。中井先生はドイツで学ばれたので私も将来、留学するならばドイツを考えています。
-好きなピアニストは誰ですか。
加藤 マルタ・アルゲリッチです。今はとても無理ですが、いつかあんな風に弾けたらいいなと思っています。
-これまでのことを振り返って想うことや、今、自分に必要なものはありますか?
加藤 今まで練習量が足りていなかったことと、もっと工夫して練習していれば今よりも上手くなっていたという過去に対する後悔はあります。あとは自分の意志を貫き通せる根性が欲しいなと思います(笑)。
-トップコンサートのステージに臨む想いを教えてください
加藤 この先コンチェルトを弾く機会が約束されている訳ではなく、今回が最初で最後かもしれないので絶対に悔いは残したくないです。ラフマニノフの2番は場面展開も面白く、どの楽章のキャラクターも全く違います。個人的には一番聴いて欲しいのはダイナミックな第3楽章なのですが、第2楽章の綺麗な響きも好きです。ピアノのソロパートを聴いて欲しいのですが、ヴァイオリンにピアノの音が乗ったときの重厚な響きなどオーケストラと共演した時のコンチェルトならではの魅力があるので、それを楽しんで聴いていただきたいです。(tsuka)


高校生の部最優秀賞と県知事賞のダブル受賞を果たした

加藤 亜咲美(かとう・あさみ)
2004年生まれ。3歳よりピアノを始める
2016年 第32回かながわ音楽コンクール ユースピアノ部門 小学校高学年の部 優秀賞。
2017年 第2回ヤマハジュニアピアノコンクール 小学校高学年の部 グランドファイナル出場。
桐朋女子高等学校音楽科2年在学中。
現在、中井恒仁氏に師事。